「ESG」とはいったい何だろうか?

  • 「ESG」とはいったい何だろうか?
急速に広まりつつある「SDGs」の考え方と活動ですが、その傍らで「ESG」という言葉を聞いた事が
ありますでしょうか。
「SDGs」は何となくわかってきたけど、「ESGとは何だ?」 と私自身もなっておりましたので、
ちょっと調べてみることにしました。私なんかでも理解できるよう広く浅くな内容となっておりますので
気楽にご覧ください。

とある美味しいと評判の人気店がある日、使用していた食材の産地を偽装していたということで逆風に
さらされることとなり、そのお店の食材仕入れ先についても外国人を違法に働かせたり、売れ残った商品を
大量に廃棄したり、加工している工場では雑排水を垂れ流しにしているなどで世間から厳しい目を向けられた
とします。
そのお店が信頼を取り戻そうと建て直しを図りましたが、今の時代SNSで情報が簡単に世界中へ広まってしまうようなご時世の中で、なかなか悪評が拭いきれず一度失った信頼を取り戻すことができずに
資金繰りが行き詰まりやむなくM&Aや廃業に追い込まれるというニュースを耳にします。
そのようなケースが近年様々な分野へ波及して起こっているようです。
氷山の一角に過ぎないかもしれませんが、仮に隠蔽し続けられたとしてもいつかは明るみに出てしまう
というのが今の世の中です。
大企業になればなるほど雇用や組織編成の問題が出てきたり、グループ会社や下請け会社との意思疎通は
難しくなります。
またモノやサービスを提供するには相応の資源(原材料・労働力)を消費しなければなりません。
そしてそれを創り出す為には莫大な資金が必要となります。
つまり借入以外にも投資家たちから出資してもらう等の方法で資金調達が必要となります。
近年ではどのような事業活動が投資家から注目を浴びているのか、また経営者として考えていかなければ
ならないのか「ESG」とはなんなのか、今回調べてみたことで少し理解できたように思います。

そもそもESGとは環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取った言葉です。またこの3要素をもとに、投資家たちが財務情報だけでなく、環境や人権などの問題について
企業が積極的に向き合っているかなどを考慮した投資活動をESG投資といわれています。
戦争や環境破壊といった世界規模の問題に関与していたり、サービス残業による超過労働やパワハラなどを
強行しているような企業に対しては、投資家たちが待ったをかけ、是正に向けて注力せよと感じさせるものが
ESG投資のあり方です。

ESG投資が浸透すると、企業側もESGを意識した経営を求められ対応を考えなければなりません。
いわゆるブラック企業は淘汰していくぞという流れのようです。
「上場企業は大変だな~」となりそうですが、これは上場企業に限った事ではなく、取引先として上場企業から求められるものも出てくるでしょう。
また、消費者の目、社会の目が企業全体へ徐々に厳しくなっていく事が想像できます。

たとえばESG投資で高評価の企業では、環境保全や温暖化対策、化学物質の排出量の削減、人権への配慮に
至るまで、ESGをベースに社会問題に対して、多岐にわたり取り組んでいます。こうした社会的な取り組みを
発表することで、企業は社会的地位を確立させ、将来的な安定性を投資家にアピールすることができます。

つぎに、ESGの各要素を詳しく見ていきます。
環境(Environment)では、自然破壊(再生可能エネルギーの使用)、気候変動(二酸化炭素排出削減)、
水質汚染(産業廃棄物の逓減)への配慮が挙げられます。
「CO2を減らそう、水を大事に、地球にやさしくしようね」という考えのようです。
また、社会(Social)では、地域との関係性、雇用の多様性、個人情報の管理、人権問題への配慮などがあり、
「差別しちゃだめだよ、働きたい人が働けるようにしようね」という考えです。
ガバナンス(Governance)では、取締役会の構成、第三者目線での監視体制、内部統制の強化などが
挙げられ、「うちの会社はこうしていくぞ」という情報の開示が求められるようです。

この中でもガバナンス(Governance)に関しては、企業統治を高めることにより企業が抱えているリスクを
減らし、長期的に企業価値を向上させることに繋がる為、多くの投資家たちが重要視
している要素となって
おります。
企業経営者は自社の利害関係者がESGに対してどれほど関心があるのかを見極めてその期待に応えるようにしていかなくては成長していくことが難しい時代になってきたと言えるかもしれません。
そしてその時代にあった施策を常に考え、行動に移すことで社会的責任を果たすことができ存在感を示すことができるのです。

「SDGs」をどれだけ進めているかを企業判断の基準にする「ESG」ですが、
カラフルで円形のバッジ(SDGsバッジ)を付けている事で意識の高い企業と見られている時代からバッジを付けてなくとも実際の活動を評価されるのが当たり前の社会になろうとしているようです。                         
矢野